庭苑設計案 4th 「最終計画案」平面配置絵図

実地設計 新諫早庭苑について

新しい庭園は、諫早神社の社殿北側、総面積2350平米の敷地に池泉と築山によって織りなされた池泉神塚回遊式庭苑を設計案としております。
江戸期に作庭されたと伝わる名庭、旧諫早庭園の水害以前の風景に想いを馳せ、新たな池泉は当時の池の輪郭を残しながら、形をそのままに縮小しています。池の姿は、玉石で敷き詰められた穏やかな洲に立石を多用し、飛鳥時代の優美さと江戸時代の剛健な表現を蘇らせています。また、施工は伝統工法を用いることで生き物が生息しやすい環境にも配慮し、生命の気配を感じられるように設計いたしました。
参拝を終え、社殿より多良岳の方角へ進むと見えてくる、高さ約3米の築山は、雲仙岳温泉神社の位置より上部の山景をそのままの形で再現しています。皆様のご協力で集められた思い出の詰まった石を用いて作られたこの築山は、雲仙塚として神苑に姿を表します。築山の中腹に建つ鳥居は、対馬和多津美神社に見られる全国にも珍しい三本の柱で構成された三柱鳥居としました。そこに、古く諫早神社に伝わる陶器製鳥居の要素を併せ、白磁に文様を刻んだタイルを施す意匠としました。三柱の中央に覗く鯨を見立てた石組は、要石としてこれから1300年後の遠い未来まで私たちを御守りくださるよう願いを込めたものとなっています。
この庭苑に「生命の景色」を感じていただける空間をご提案できれば幸いです。