SYU Garden

この庭の計画は建物と敷地を人に見立て、命を持った生きている庭をイメージすることから始まった。図面一枚、ドローイング一枚のみであったが、利用者の毎日の行動から、必然的にプランが決まっていった。建物に入らず、外で絵を描きたがる人のための壁、毎日田んぼを眺める人の腰掛、送迎を待つためのベンチ。一緒の時間を過ごす中で庭がだんだんと息づいてきた。

最初に手がけたことは、建物裏の日の当たらない場所の枝を剪定し、溝水の澱みをきれいにすることであった。時間と予算をかけ、排水溝や土留めをしっかり整備することで気持ちの良い風が通るようになった。その目的は、建物の周りをぐるりと車椅子で回って、壁や床にみんなで描いた風景を観覧できるようにしたかったからだ。

集の庭 2016年 4月